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日本皮膚科学会が2010年に発表した初の男性型脱毛症(AGA)診療ガイドラインによると、外用薬のミノキシジル、内服薬であるプロペシア(有効成分:フィナステリド)の2点を治療の第一選択薬に挙げ、最も高い評価をしています。

つまり、AGAが気になるなら、まずはこの治療薬を使った対処法から始めることを強く推奨しているわけです。
aga診療ガイドライン
というわけで、その効果を確かめるべく、自ら実験台となり、リアップとプロペシアを併用使用しながら、日々、観察【プロペシア体験記】を続けていますが、これらの治療薬に次いで評価の高い対処法が、意外にも自毛植毛なんだそうです。

自毛植毛とは、文字どおり、自分の毛髪を利用して薄毛やハゲが目立つ頭部に移植する植毛法であり、細く短くなってしまった毛髪を、再び太く丈夫に育てることを目的とした育毛剤などとは、まったく異なる手段ですが、他の一般的に知られている育毛剤の有効成分などよりも評価が高い理由はどこにあるのか?

自毛植毛の仕組みや人工毛植毛との違い、メリット・デメリットについて少し整理してまとめておきます。



植毛の基礎知識:自毛植毛のメリット・デメリット

植毛法は、大きく分けると〝自毛植毛術〟と〝人工毛植毛術〟とに分かれます。

前者の自毛植毛は、先にも説明したように、自分の毛髪を採取して移植する外科手術で、ドナー(移植元)となる毛髪が欠かせませんが、通常、そのドナーは後頭部や側頭部の毛髪が採取対象となるようです。

頭髪画像1ではなぜ、後頭部や側頭部の皮膚が対象になるのかというと、それは前頭部や頭頂部とは違い、男性ホルモンの影響を受けにくく、AGAによる脱毛の進行が起こりにくい部位だからです(薄毛やハゲが進行している人も、側頭部や後頭部の毛髪だけは残っているケースが多い)。

そのため、移植後、問題なく定着してしまえば、理論上は生涯薄毛になりにくい毛髪を手に入れることができるので、考えようによっては理想的な治療法と言えますが、自毛植毛ならではのデメリットもあるので、その点を十分に理解した上で、治療に臨むことが大切です。

そこで、自毛植毛のメリット・デメリットについてまとめておきます。

そもそも、自毛植毛術が行われるようになったのは、戦前の日本人医師(笹川正男氏、奥田正二氏、田村一医師などが研究を行っていたとされていますが、中でも奥田氏が1939年に報告した自毛植毛理論の影響が大きいとか…)による研究が発端のようで、戦後、その研究を基に米国のノーマン・オレントライヒ医師が治療法を確立したと言われています。

ところが、当時、主流であったパンチグラフト法やフラップ法とよばれる初期の術式は、傷跡が目立つ、植毛部分に外見上の不自然さが残る等の欠点がみられたため、植毛手術を受けたことがバレやすいといった問題点がありました。
パンチグラフト法 直径3~5mm程度の円筒状の特殊な器具を使って、頭皮の毛根をまとめて繰り抜き、植毛株を束(10~20本程度)のまま移植する術式。ドナーサイズが大きく、束になって生えてくるため毛根の向きを調節できない、密度が低く不自然な生え際に見えるなどの欠点がある。現在は、このパンチグラフの技術を向上させたミニ・グラフト法やマイクロ・グラフト法と呼ばれるより優れた術式が開発されている。
フラップ法 側頭部の皮膚を一部の残して帯状に切り取り、額の脱毛部位(生え際)を覆い隠すように移植する術式。一度に広範囲の植毛が短時間でできるという利点はあるが、高度な技術を必要とし、未熟な医師のもとでは手術痕が目立ち植毛したことがバレやすい。また、移植後の毛髪の生え方が不自然、頭皮の壊死といったリスクが挙げられ問題点も多い術式である。
その後、世界各国の医師や研究者の手により自毛植毛術は飛躍的に進歩し、様々な術式が報告されるようになった結果、長い間、問題とされてきた移植による毛髪の密度や生え際の不自然さは以前よりも解消され、近年はその優れた技術の高さから、海外では自毛植毛を受ける人も増えているようです。

ところが、日本国内という限定された地域に目を向けてみると、薄毛やハゲの方が自毛植毛という選択肢を選ぶことは少なく、大半の方がプロペシアや市販の育毛剤を使ってケアに頼っています。

日本において自毛植毛を受ける人が少ないのは、自毛植毛術が外科手術による治療法である以上、手術によるリスクを考慮すると、さすがにそこまでして髪を取り戻したいという思いや覚悟が無いという人が多いからかもしれません。

かく言う私も、技術が飛躍的に進歩したとはいえ、自毛植毛という選択肢は、いまのところまったく考えていません。

確かに自毛植毛には次のようなメリットがあるので、プロペシアやミノキシジル系育毛剤による効果がほとんど現れず、もう治療薬を使った手立てはないというような場合には、非常に魅力的な対処法のようにも思えます。
チェック一度、移植した後、定着したら薄毛で悩むことはない!

矢印男性ホルモンの影響を受けにくい後頭部や側頭部の皮膚を移植するため、定着すれば、AGAによる薄毛を心配する必要はありません。

チェック人口毛とは違い、定着した移植毛は日々成長し続けるので、薄毛の悩みを根本的に解決する!

矢印人工毛は、あくまで〝付け毛〟に過ぎず、移植しても成長することがないので、定期的なメンテナンスを必要としますが、自毛は移植後、日々、成長し続けるので、薄毛の悩みを根本的に解決することになります。そのため、初期費用は高額ですが、長期的に見ると、メンテナンスのいらない自毛植毛は費用面においても人工毛植毛より安く抑えることができることも…

チェック自毛なので、拒絶反応が少ない!

矢印人工毛は化学繊維を使った偽毛なので、人体にとっては異物以外のなにものでもありません。そのため、拒絶反応を起こすこともあり、場合によっては脱毛や頭皮の炎症等のトラブルが起こります。ところが自毛植毛ではもともと自分の頭部に生えていた毛髪を利用するため、人工毛よりも拒絶反応のリスクが低くなります。
しかし、外科手術である以上、100%安全と言うわけではありません。

特に自毛植毛を受けることによって起こりうる(考えられる)デメリットは、次のようなものが挙げられますが、これらの問題点は、実際に受けてみないことには分からないものも多く、取り返しのつかないトラブルになった場合のことを考えると、やはり躊躇してしまうというのが正直な気持ちです。
チェック移植できる範囲の限界!

矢印自毛植毛では自分の頭髪を採取して、薄毛(ハゲ)部位に移植することになります。つまり、今現在残っている毛髪の数が増えるわけではありません。したがって、いくらでも量産できる人口毛とは違って、移植できる範囲には限界があります。

チェック傷跡が残る!

矢印移植するドナーを採取する必要上、後頭部や側頭部に線状の傷跡が残ってしまいます。そのため、髪を伸ばしていれば特に問題となりませんが、坊主頭やスキンヘッドにしようとすると、その傷跡が気になることも…(ただし、近年はメスを使わずにドナーを採取する術式もあるようです)

チェック移植後の脱毛(ショックロス)

矢印移植前から生えていた毛髪が、移植後、抜け落ちてしまうケースがあるようです(ショックロス現象)。その原因はよく分かっていないようですが、ショックロス現象は一時的な脱毛であり、数ヵ月後には再び生えてくると考えられています。

チェック高額な初期費用!

矢印高度な技術や手間がかかるため、移植する範囲にもよりますが、人工毛に比べると初期費用は高額になりがちです。しかし、人工毛とは違い、一度、移植した毛髪が定着し再び成長し始めればメンテナンスは必要なくなるため、長い目で見ると人口毛植毛よりも費用は抑えられる場合もあるようです。

チェック生え揃うまで時間が掛かる!

矢印移植した毛髪の大半は、しばらくすると一度抜け落ちてしまうようです。その後、しばらくすると再び成長し始めるようですが、ある程度しっかりとした長さの毛髪が生え揃うまで半年程度の期間を要します。

チェック術後の腫れや麻痺、後遺症など

矢印自毛植毛はあくまで外科手術なので、執刀医の技量や体質、個人差にもよりますが、術後に起こりうる主なトラブルとして他にも次のようなものが考えられます。

 ・術後の出血
 ・植毛部位や額、目の周りに起こる腫れ
 ・麻酔が切れた後に襲ってくる痛みや頭痛
 ・頭皮の痒み、カサブタ
 ・移植部位に現れる吹き出物
 ・一時的な知覚麻痺 …etc
頭髪画像2冒頭でも触れた男性型脱毛症診療ガイドラインでは、まずはランクAやランクC1に該当する治療薬を使った対処法を推奨しており、それでも効果が無かった場合に、自毛植毛の外科手術を推奨しています。

そのため、治療薬を使った対処法ではまったく効果が期待できない方で、薄毛でいることに強いコンプレックスを抱えているような場合には、自毛植毛という外科手術も選択肢として検討する余地がありそうですが、ガイドラインでも、自毛植毛を受ける際は、十分な経験や技術を有する医師が行う場合に限り推奨する立場をとっているので、カウンセリングの際にはしっかりとメリット・デメリットに関する説明を受け、納得した上で治療に臨むことが大切です。




植毛の基礎知識:人口毛植毛のメリット・デメリット

一方、人工毛植毛とは、文字どおり、人工的に作られた偽毛を頭部に移植する植毛法ですが、過去に様々なトラブルが報告されていることから、海外では人工毛自体を有害器具として指定し、事実上禁止している国もあるようです。

※補足:日本国内では、今のところ禁止されているわけではないので、人工毛植毛に対する医療法上の問題はありません。

では、なぜ人工毛植毛はトラブルが多いのか、その点を少し説明しましょう。

現在、偽毛の素材は主にポリエステルやアクリル系の化学繊維が使われていますが、偽毛はあくまで偽毛であって、人体にとっては異物以外のなにものでもありません。

そのため、拒絶反応により、移植後の毛の定着率が悪く、しばらくすると抜け落ちてしまうケースも少なくないようです。

また、自毛とは違って人工毛は自ら成長することはないため、定期的な植毛が必要であること(定期的なメンテナンス費用がバカにならない)、劣化等による炎症や細菌感染のリスクの高さ、あるいは頭皮内での異物感などが主なデメリットとして挙げられています。

しかし、デメリットがある一方で、自毛植毛にはない人工毛植毛ならではのメリットもあるようです。

その主なメリットとは次のようなものです。
チェック薄毛(ハゲ)の範囲を気にする必要がない!

矢印自毛植毛は後頭部や側頭部に生えている毛髪(ドナー)を採取して、気になる部分に植毛します。そのため、薄毛(ハゲ)の部分が広範囲にわたる場合、必ずしも満足のいく仕上がりになるとは限らない場合があります。しかし、人工毛であれば、ドナーを気にする必要は一切ないため、費用さえ工面できれば、欲しい部分に欲しいだけの毛を植毛することができます。

チェック即効性がある!

矢印自毛植毛では毛髪が生え揃うまで半年程度の期間を必要としますが、人工毛植毛は手術当日に思いのボリュームや長さに調節することができるため、生え揃うのを待つ必要がありません。

チェック施術時間が短い!

矢印自毛植毛で行うドナー採取や株分けの施術工程がない分、施術時間が短くて済みます。
近年は医療技術の進歩により、人工毛植毛によるリスクは以前よりもだいぶ減ったという話も聞きますが、人工毛植毛は医学的に見ると、安全性や有効性が確立されたものではありません。

そのため、自毛植毛に比べると、術後のリスクは高いと理解しておくべきでしょう(日本皮膚科学会のガイドラインにも人工毛植毛に対する評価は最も低いランクD:行わないよう勧められる)。